『不思議な口』
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去年12月の新聞投稿を、お借りして。
『不思議な口』
シルバー人材センターから
放課後の児童の見守りに行ってもらえないかと
言われたのは昨年5月で、
翌月から働き始め、今に至っている。
私は「児童クラブ」が初耳で、
どこの管轄で成り立っているのかも知らない状態で入った。
その日から「先生」と呼ばれ、戸惑いのスタートだった。
ちょうどその時、
ファミリーサポートセンターから、
子育て支援員の研修があると、書類が届いた。
まずは基となる児童福祉法の講習を受け、
その後、自分が必要とするコースを受講するという案内だった。
当然飛びついた。
この年で児童福祉法を学び、
子育て支援に関する研修を受けた。
県知事の印の終了証書、
「子育て支援コース」「放課後児童コース」の2通は、
私の宝物になった。
さて児童クラブで働いてびっくり。
低学年の元気な男児は、
「クソババ、だまれ、ひっこめ、じゃま」の言葉が口から出る。
「クソババ」を連呼していた子も、
親の迎えがあると、
「先生、さようなら」と、とびっきりの笑顔で言う。
私はその可愛い口がおかしくてたまらない。
しかし、驚くことに子供の成長はすごい。
3年生の後半になると、
「クソババ、じゃま」が「先生、のいてください」になる。
勉強する意欲が芽生え、
「音読するから、聞いてください」と寄ってくる。
音読表を手に
「さあ、〇か△、どっちにしようかな」と言うと、
「えーっ」と小さな口がとがる。
ゆっくりと〇を記入すると、
笑みがこぼれて白い歯が見えた。
【山口県周南市・椋木幸子・69歳】
これも、あるあると、ぷっと、笑ってしまった。
むかし、ちびっ子ギャングって外国のテレビ番組があって
面白かったのを覚えているけど。
そういえば、小学校低学年は、ギャング時代と聞いたことがある。
お仕事で出会った中で、研修を受け、
ひとつひとつ積み重ねるって、すごいこと。
年を重ねても、こういう生き方は素敵です。
いくつになっても、柔らかな感性は大切です。
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